キツネの嫁入り「loopgirl 」リリース、9/11 Dance Suite

 キツネの嫁入り15周年マンスリーシングルリリース第三弾「loopgirl」公開されました。参加させて頂き、とても嬉しく思います。

https://friendship.lnk.to/loopgirl



MUSIC VIDEO

https://youtu.be/PjFfLQhSqVs


詳細

https://madonasi.com/kitsune/loopgirl/


Vocal・Guitar:Madonashi
Piano:Hisayo
Contrabass:Kenichi Saruta
Sax:Shinji Kitamura
Drums:Takuji Itou
Vibraphone:Kaori Satoh

Rec・Mix:Keishiro Iwatani
Rec・Mix:Tomoya Otsu(Vibraphone)
Director:浜田淳 / Jun Hamada
Shooting & Lighting assistant:奥野慧 / Satoshi Okuno(white and art ムクヨミドリ)
Dance:大歳芽里 / Meri Otoshi
衣装協力:Scène – 寺町三条


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9/11(土) Dance Suite 

音が動く、体が動く、呼応するように。

シンプルな組み合わせの中にある揺れ動くざわめきや、限りなく溢れてゆく感触を確かめるように、その瞬間起こり得る全てのことを、共に味わえたらと願います。




【演奏】

神田剛誌

菱沼カンタ

【ダンス】

川瀬亜衣

大歳芽里


開場18:00 開演18:30 

¥1000 +オーダー


会場 ZAC BARAN

http://www.secondhouse.co.jp/zacbaran/live.html


夏の感想文 ビートジャック15th 「なに食べる?」を観て

2021年8月17日 伊丹アイシンフォニックホール




10 年以上一緒に踊っている鈴木みかこちゃんと、久々に再会し伊丹でご飯を食べた。しっかりデザートまで。活動や家族の話をして向かった公演のタイトルは「なに食べる?」で、しっかり食べてきて良かったと思った。

入口には列が出来ていて、子どもたちもはしゃいでいる。


2004 年から活動されているビートジャック。最近は雨に降られているという前説で、ファンらしき人達が頷いていた。

四人とも凄い演奏者でかつ作曲も出来る。

静けさの中で「凪」という曲がはじまり、舞台上でマリンバの演奏が止んでも、かすかなマリンバの音が遠くから聞こえてくる。音のない世界を音のある世界で表現する内山光知子さん。


2曲目の「JNJKP」は聖徳太子が604 年に制定した日本最初の憲法と言われている十七条憲法の略だそうだ。

パンフレットに今年は聖徳太子遠忌1400 年で、代々受け継がれ守られてきた志を胸に刻んでいきたいと、池田安友子さんが書かれている。

ポココポココと憲法の言葉を音にした感じのコンガやボンゴが響いてくる。第一条は「和を以って尊しと爲し忤ふこと無きを宗と爲す(和を大切にし人といさかいをせぬようにせよ)」からはじまる。

ガムランでみるインドネシアのシンバル、チェンチェンやまな板の様な木の楽器も使われ、重ねたり持ち上げたり、儀式みたいだ。4人が呼吸で合わせているのがよく見える。

前の席の方が「きっと皆数学も得意だと思う」と言っていたが、何かの数式を4人が同時に解いているのを聞いているような気もした。


全部でアンコール合わせると8曲あるのだが、昼も1時間くいしんぼうイートジャックの『Bをさがせ!』という0歳児から入れるプログラムをされている。打楽器奏者を見るといつも、全身を使って踊りながら音を正確に刻まれている印象を受ける。


安永早絵子さんの「カホンが欲しいと彼女は言った」は私には1つの踊りに思われた。カホンはペルー発祥の体鳴楽器と言われ、木の箱の前面に薄目の打面材を貼り、裏にはスナッピーやギターの弦等と同じような構造の響き線や鈴が取り付けられている。

ある日カホンが欲しいとやってきた彼女の為に、私は彼女と家族が一緒に叩いて楽しんでいるところを想像し、選定をする。彼女は家に持ち帰り、その箱にそっと触れ感触を確かめる。箱の上に乗り手を伸ばすと穴が開いていて、中はカサカサとまた違った音がする。引っ張ると穴からくす玉のようなカラフルな玉が幾つも出てきて、その音の粒が広がる様にマリンバも鳴っている。カホンを叩くと音の粒は跳ねては転がり、また戻ったりしていく。部屋で1人夢をみるように彼女はカホンと同化していく。彼女はもう私を訪ねて来なくなった。音楽がある絵本を見ているようだった。


そこから内山光知子さんの「EAT!」、池田安友子さんの「胃の中」、高鍋歩さんの「ビートジャックの優雅な午後〜チョコレートとコーヒーとお茶と花〜」、安永早絵子さんの「ふくにしのパン」に続いていく。


ビートジャックを初めて知った時、靴を4人で演奏される映像を観て驚いたのを覚えている。この前小辻太一さんの'ジャグリング的視点から考える物と身体の動かし方ワークショップ'をオンラインで受ける機会があったのだが、まず1つの物の持ち方や特徴を観察した。質感や形状など、どの特徴を取り上げるかで身体の動きも変わってくる。打楽器奏者も物を扱い、身体的拡張のように音を鳴らしているように思える。


「胃の中」という曲で使われていたのは卵パック。4人がシュールに並んで座り、卵パックを開閉したり、擦ったり潰したりを順番にしていくのだが、縦に動かしていたものを横にし口の前で動かすと歯に見えたりする。(実際4人は大きな口を表す赤い円形の紐の中に入っている)

潰し方にもバリエーションがあり、卵パックの演奏にボンゴやスリットドラム、アフリカの民族楽器バスケットマラカスなどが混じってくる。楽器を動かしながら、演奏位置も変わり、最後にコロコロとマレット(ヘッドのついたバチ)が転がり落ちる。


なぜ転がり落ちて曲が終わったのかは「EAT!」からの流れがある。「EAT!」の中には食べることは生きることという全てが含まれていて、空腹から満腹になるまでの過程が楽しめる。よさこいの鳴子やスラップスティック、ホイッスルなどが使われ、歓喜に満ちた祝祭だ。満腹と書かれたシンバルが鳴らされた時、なんだか拝みたい気持ちにさせられた。その後の曲「胃の中」で消化を告げられる。練習で朦朧としながらクリエーションされたそれは、演奏に欽ちゃんの仮装大賞と生活の知恵を合わせた感じで見せていて、まさに体内で起こっているであろう消化工場の働きを可視化していた。


転換ではメイドさんがテーブルクロスを敷き、花を飾り、ティーカップとソーサーを置き、チョコレートを並べていった。

高鍋歩さんの「ビートジャックの優雅な午後〜チョコレートとコーヒーとお茶と花〜」では、チャイコフスキーのバレエ'くるみ割り人形'の中でお菓子の国を巡る場面から4曲選ばれている。聞く度に子供の時の記憶を思い出していた。が、記憶よりアレンジが楽しい。ミッション・インポッシブルが入ってきた!何処に行くんだ〜あっ、またチャイコフスキー!とどんどん変化する。ある曲のメロディに全く違うスタイルの伴奏をつけるタカラヅカのショーを意識されたらしい。

みかこちゃんが「別腹!?」と言ったらそうだった。


最後は伊丹にある「ふくにしのパン」の曲。前の方がパンは朝食やしな〜と言っている。私はお土産?と思った。メイドさんが食パンを3枚重ねて、皿が重みで沈んでいきそうだ。途中からお客さんも手拍子をして、早絵子さんがふくにしのパンと歌っている。コロナでなければ皆が「ふくにしのパン〜♬」と讃えたことだろう。客席と舞台が一体化していて手拍子の時点で泣きそうになった。


満腹消化別腹、至福!中華街で見掛けるようなピラピラで文字が飾りつけられていた。アンコールは健康で、体操の曲。ビートジャックを見終わった後は満たされて家に帰ったが、伊丹で買った小西酒造、白雪の奈良漬けと甘酒で締めてしまった。これは何腹にあたるのか。食べることはまさに生きること。


ビートジャックのホームページ